介護施設のイラスト

「訪問介護」という言葉は耳にしたことがあっても、「実際にどんなことをしてくれるの?」「どうやって使い始めればいいの?」とよくわからないまま、という方も多いのではないでしょうか。

私はヘルパーとして訪問介護の現場で働いた経験があります。一人暮らしの方にも、ご家族と同居している方にも、さまざまな状況のご利用者のお宅にうかがってきました。この記事では、その経験をもとに、訪問介護のサービス内容や利用の流れをできる限りわかりやすくお伝えします。

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訪問介護の2種類:身体介護と生活援助

訪問介護には大きく2つの種類があります。「身体介護」と「生活援助」です。この2つは内容も、介護保険上の区分も異なります。

身体介護

身体介護は、利用者さんの体に直接触れて行うケアのことです。私が実際に担当していたものには、次のようなものがありました。

生活援助

生活援助は、日常生活の家事まわりをサポートするものです。私が担当してきた内容はこのようなものです。

下の表に、2つのサービスの違いをまとめました。

種類 主な内容 特徴
身体介護 入浴・排泄・食事・移動などの介助 体に直接触れるケア
生活援助 掃除・洗濯・調理・買い物など 家事全般のサポート

※どちらのサービスを利用するかは、ケアマネジャーと相談してケアプランに盛り込む形になります。

1回の訪問はどのくらいの時間?

訪問介護のサービス時間は、基本的に30分単位で組まれます。「30分」「1時間」「1時間半」といった単位でケアプランに設定されることが一般的です。

私が訪問していた方の多くは、1回30分〜1時間程度のサービスを週に数回、という組み合わせでした。たとえば「月・水・金の週3回、1回60分で入浴と排泄介助」といった形です。

ℹ️
複数回組み合わせることもできます 「午前に生活援助(買い物・調理)、夕方に身体介護(排泄介助)」というように、1日に複数回の訪問を組み合わせることもあります。週に何回・何時間使えるかは、要介護度と介護保険の支給限度額によって変わります。ケアマネジャーに相談しながら組み立てていくことになります。

どんな方が利用しているの?

訪問介護は「施設に入らなくても自宅でサポートを受けたい」という方に幅広く使われています。私が実際に訪問してきたご利用者の状況は、さまざまでした。

一人暮らしで少し介助が必要な方

一人暮らしだけど、自分では掃除や買い物が難しくなってきた、という方のお宅にもよくうかがいました。近くに家族がいなくても、ヘルパーが定期的に訪問することで、自宅での生活を続けられている方が多くいらっしゃいました。

ご家族と同居している方

同居しているご家族が介護をされているケースでも、訪問介護を利用されている方は多いです。「配偶者が介護しているが、入浴だけはヘルパーに来てもらっている」という形も珍しくありませんでした。介護をされている側の負担を少し軽くするためにも、訪問介護は役立ちます。

身寄りのない方

近くにご家族がいない、または身寄りのない方もいらっしゃいました。そういった方にとって、ヘルパーとの定期的な訪問が生活のリズムをつくる大切な接点になっていることを、現場でよく感じていました。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に住んでいる方

「自宅」だけでなく、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に入居している方のもとへ訪問することもありました。サ高住はあくまで「住まい」であり、介護サービスは別途契約する形になります。そのため、外部の訪問介護事業所のヘルパーが定期的に訪問して介護サービスを提供するケースがあります。「施設に入った=介護はすべて施設がやってくれる」とは限らないので、入居前に確認しておくと安心です。

家族が知っておくべきこと

ヘルパーにできること・できないこと

訪問介護を初めて利用するご家族から、よく「家族の分も一緒に料理してもらえますか?」と聞かれることがありました。

実は、生活援助はあくまで「ご本人のための家事」が対象です。同居しているご家族の分まで料理をしたり、家全体を大掃除したりすることは、原則として生活援助の範囲には含まれません。

生活援助の「できる・できない」の目安
  • ✅ ご本人が食べるための食事の準備
  • ✅ ご本人の衣類の洗濯・収納
  • ✅ ご本人が使う居室・トイレ・浴室の掃除
  • ❌ 同居家族の分の食事づくり
  • ❌ 家全体の大掃除・窓ふきなど
  • ❌ ペットの世話・植物の水やり
  • ❌ 医療行為(医師や看護師が行うもの)

「こういうことも頼めるの?」と思ったことは、遠慮なく担当のケアマネジャーやヘルパーに確認してみてください。

家族からよく相談された内容

ヘルパーとして訪問していると、ご家族から直接相談を受けることも少なくありませんでした。多かったのはこんな内容です。

ヘルパーはご自宅に定期的にうかがう分、ご家族が気づかない日常の変化に気づくことがあります。気になることがあれば、ケアマネジャーを通じて事業所に伝えておくと連携しやすくなります。

訪問介護を使い始めるまでの流れ

訪問介護は介護保険サービスのひとつです。利用するには、いくつかのステップがあります。

ステップ 内容
① 介護保険の申請 お住まいの市区町村窓口(または地域包括支援センター)に「要介護認定」の申請をします
② 認定調査・判定 自宅に調査員が来て、心身の状態を確認します。その後、要介護度(要支援1〜2、要介護1〜5)が決まります
③ ケアマネジャーを決める ケアマネジャー(介護支援専門員)に担当してもらい、ケアプランを作成してもらいます
④ 訪問介護事業所と契約 ケアプランに基づいて、訪問介護事業所と契約します
⑤ サービス開始 決まった曜日・時間にヘルパーが自宅を訪問します

※認定結果が出るまで通常1〜2か月かかります。急ぎの場合はケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみてください。

ℹ️
まず「地域包括支援センター」に相談を 「どこに相談すればいいかわからない」という場合は、まずお住まいの市区町村の「地域包括支援センター」に連絡してみてください。介護保険の申請からケアマネジャーの紹介まで、無料で相談に乗ってもらえます。

まとめ

この記事のポイント
  • 訪問介護には「身体介護」と「生活援助」の2種類がある
  • 1回の訪問は30分単位。週に複数回組み合わせて使う
  • 一人暮らしの方にも、家族と同居の方にも幅広く使われている
  • 生活援助はご本人のための家事が対象。家族分の料理などは範囲外
  • 利用開始には介護保険の申請→ケアプラン作成→事業所との契約の流れがある
  • 迷ったらまず地域包括支援センターに相談

訪問介護は、自宅での生活を続けながら必要なサポートを受けられるサービスです。「施設に入るほどではないけれど、一人では不安」「家族だけでは介護が難しい」という状況にある方にとって、心強い選択肢になります。

気になる事業所があれば、まずは資料を取り寄せてみてください。複数の事業所を比較してから決めることもできます。

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